2019年の桜花賞はグランアレグリアが、皐月賞はサートゥルナーリアが勝利を収めました。
この2頭の勝利で、「ああ、競馬界はノーザンファーム1強なんだ」と素直に感じました。
過去のデータとかジンクスを悉く打ち破る。それが今のノーザンファームの力です。
詳しくは「ノーザンファーム」で調べていただければ分かると思いますが、やはり設備の充実、特に外厩設備の充実が、この成績につながっていると思います。
そもそも、厩舎で預かることができる馬の数は限られており、すべての馬が厩舎にいることはありません。必ず「放牧」という過程を経て、厩舎に戻り、レースに出走します。この放牧の時に、ノーザンファーム生産馬は外厩施設を使うことができます。東は「ノーザンファーム天栄」、西は「ノーザンファームしがらき」ですね。この設備が凄い。凄い設備のところでビシビシ鍛えられるわけですから、厩舎に帰ってきた頃には完成しているわけです。だから休み明けとか関係なく走る。今までの常識が覆されたわけです。
またノーザンファーム生産馬は、デビューまでにノーザンファームの施設を使って調教されます。今まで、馬の勢力図が「西高東低」だったのは、栗東トレーニングセンターにある坂路コースの傾斜が、美浦に比べて、きつく長かったからと言われています。
つまり、栗東で調教を積める馬の方が良い負荷をかけることができたということ。それが、ノーザンファームは自前で栗東坂路に負けない坂路コースを作り、さらには屋根付き坂路コースまで作ってしまった。これで、天候にも左右されず馬を鍛えることができるようになったのです。このような設備を作るためには、莫大なお金がかかります。実はノーザンファームは、ビジネス感覚にも優れていると言えます。まぁ、これはまた別の機会に。
まずは桜花賞から振り返ります。
桜花賞の結果
勝ったのは、ルメール騎手騎乗のグランアレグリア。
桜花賞で、グランアレグリアは過去の桜花賞の記録を2つ塗り替えました。しかも、その2つは昨年のアーモンドアイが記録したもの。
まず1つ目は、タイム。1.33.1が昨年アーモンドアイが記録した桜花賞レコードでしたが、今回のグランアレグリアは1.32.7。0.4秒記録を更新する形になりました。
2つ目は、間隔。今まで桜花賞を制した馬の中で、最も前走との間隔が空いていた馬は、昨年のアーモンドアイで77日(シンザン記念以来)でした。今回、グランアレグリアは中111日(朝日杯FS以来)で、大幅な記録更新となりました。
レースラップを見ていきましょう。
桜花賞のラップ
ご存知の通り、タイムが1.32.7で桜花賞レコード。
今開催の阪神は、割とタフな馬場コンディションだったのですが、桜花賞の週は異常なまでの高速馬場。
これは完全な憶測ですが、グランアレグリア向きの馬場が出来上がっていたのかなと。
というのは、グランアレグリアは長く速いラップを踏み続けるのが得意な馬だから。それはサウジアラビアRCのラップを見ていただければお分かりいただけるでしょう。
次走はNHKマイルカップに出走予定とのことですが、高速馬場なら勝ち負けでしょうね。
馬場が悪くなって、揉まれる競馬で崩れているのが朝日杯で露呈しているので、その辺がどうかというところ。
続いて皐月賞。
皐月賞の結果
勝ったのはルメール騎手騎乗のサートゥルナーリア。
この馬もノーザンファーム生産馬で、この年の牡馬の中で一番評価が高かったのがこの馬。ご存知の通り、ノーザンファームの第一主戦騎手はルメール騎手。つまり、ノーザンファームが一番期待している馬に乗るのがルメールだということです。
サートゥルナーリアは、皐月賞が年内初戦でホープフルS以来、約3か月半ぶりのレース。
中106日での皐月賞制覇は、これまでで最長となりました。まさに、今までの常識を覆す勝利。
レースラップを見ていきましょう。
皐月賞のラップ
タイムが1.58.1で、十分早い走破時計。
雨が降らなかったことで、想定よりは軽い馬場だった。まぁ阪神同様、先週から中山も高速馬場だったので、その点は想定の範囲内。
注目すべきは最後の1ハロンラップで、11.4秒と減速していない。
最後の3ハロンは、11.7-11.6-11.4で加速ラップになっていることがわかる。
つまり前が減速していない中で、ヴェロックスを差し切っているサートゥルナーリアは着差以上の強さだったと思う。このレースまでの最速上がりが34.2秒だったように、正直、瞬間の切れ味に関しては疑問だったので、展開としては決して良い展開ではなかったと思う。そんな中で、減速していない前の馬を正攻法で差し切っているのだから、この中では格が違ったかな。
ただ、トップスピードの質に関してはまだ未知数なので、あまりにも高速馬場になれば他馬の逆転もあるかもしれない。現実的な馬場であればダービーも問題ないかな。折り合いも問題ないし、後半で分散する形になっても良い脚を使えていることはホープフルSでも実証済み。ダービーでは前目の内を取って、スッと出し抜く形になれば2冠は固いだろう。