先週のフェブラリーSを制した武豊騎乗のインティ。
世代交代が進まないと言われるダート界に現れた新星は、今後のダート界の王者に君臨するのでしょうか。
この記事では、フェブラリーSの内容を振り返り、インティの今後について検討していきます。
手前を替えないインティの凄みと脆さ
フェブラリーSで話題となったのが、インティが直線で手前を替えていないこと。
レース後、野中調教師がレース回顧で「手前を替えなかった」と発言していました。
手前については記事を書いたので、こちらをご覧ください。
※おかげ様で、この手前の記事はご好評いただいております。
実際に、フェブラリーSの直線を見てみましょう。
これは、直線に入ってすぐの写真。まだ、左手前で走っていますね。
続いて、残り400m地点。うん、まだ左手前。
そして、ゴール前。やっぱり左手前です。
結局、最後まで「左手前」で走り切ったことになります。
ちなみに、同じ左回りで走った東海Sの直線を見てみましょう。
しっかり「右手前」が使えています。
決して「右手前」が使えない馬ではないのです。
ただ、このフェブラリーSでは「右手前」が使えなかったのも事実。
レース前テンションが高く、かなり入れ込んでいたのも影響していた可能性があります。
まだ、精神的に脆い面を持ち合わせていると言えるでしょう。
逆に考えると、手前を替えずにGⅠを勝ってしまうポテンシャルには脱帽です。
気になるピッチ走法
インティの走法はかなりの「ピッチ走法」と言えるでしょう。
「ピッチ走法」とは歩幅の狭い走法のこと。
一般的にピッチ走法は、馬場が悪い状態や、ダートで向く走法と言われます。
ですが、東京ダート1600mはどちらかと言うと「芝寄り」の能力を求められるコース。
と考えると、向かないレースで好走できたというのは凄いことだと思います。
インティは、とにかく「脚の回転の速さ」で勝負するタイプ。
これは、東京のような大回りコースよりも、小回りコースで能力を発揮する走り方と言えます。
※ピッチ走法については、また記事をまとめます。
フェブラリーSの特異性
フェブラリーSを振り返りたいと思いますが、今回のフェブラリーSは、結構特殊なレースだったと私は考えています。
GⅠにしては遅い前半ラップ
まず今年のフェブラリーSのラップを見てみましょう。
注目すべきは2ハロン目。
例年、ここのラップが10秒台に入り、先行争いが激化します。
過去のラップを見てみましょう。
今年は、2ハロン目が10秒台に入らず、前半ラップと後半ラップを比べても、前半ラップの方が遅いスロー。
さすが武豊の逃げといったレースですね。
しかもただのスローではなく、中弛みを作らず、後方の馬が取りつく展開にしていない絶妙なラップ推移が素晴らしい。
今回のインティは、かなり展開にも恵まれたと思います。
正直、競りかけられる展開や、内で包まれるような展開になれば、精神的に脆い面もあるので、まだまだ未知数なところがあると思います。
やはり、広いコースは向いていない
フェブラリーSを見て気になったのが、最後の100mぐらいで、ゴールドドリームにかなり詰められているところ。もちろん、冒頭で触れた手前を替えていない影響も大きいと思いますし、レース直前に入れ込んでいた影響もあるでしょう。
ただ、そもそもインティは、大箱のコースに向いていないと考えています。
それを確信したのは、ゴール前でのゴールドドリームとインティの歩幅の違い。
明らかに、ゴールドドリームの方が一歩が大きく、東京1600m向きだなあと感じました。
これに関しては、映像で見ていただいた方が分かりやすいので、是非ご覧ください。
インティの今後
正直、まだまだ未知数な面が多いと思います。
ただ、向いていないコースで結果を出せたことで、今後のレース選択の幅が広がりましたね。
しかし、本来向いているのは、どちらかというと直線が短い小回りのコースだと思います。
そして、競られた時の対応や、入れ込み、手前の切り替えなど克服すべき点は多いです。
逆に言えば、まだまだ伸びしろのある馬。これからの成長を見守りたいですね。